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ラモトリギン(商品名ラミクタール。グラクソ・スミスクライン)は、


双極性障害の新しい薬(気分安定剤=ムード・スタビライザーに分類されます)です。もともとは抗てんかん薬です。ムードスタビライザーには、リチウム(リーマス)、カルバマゼピン(テグレトール)、バルプロ酸(デパケン)があります。

ムード・スタビライザーは、双極性障害(=躁うつ病)の躁状態やうつ状態が再発するのを抑える薬です。

ラモトリギンは、双極性障害のうつ病相の出現を抑える作用が強いと言われています。

他の薬と比べていいのは、

妊婦さんが服用した場合に、赤ちゃんが奇形になる可能性(=催奇形性)が他の薬より少ないこと。
リーマスのように血中濃度を調べる必要がないこと。

でしょうか。

やや問題なのは、

・急に増量すると、中毒疹が出ることと、
・バルプロ酸の併用で血中濃度が上がること、
・カルバマゼピンなどとの併用で血中濃度が下がること。
・有効な血中濃度を得るために必要な200ミリグラムを投与するのに6週間くらいかかる

ことでしょう。

中毒疹は、軽いものも含めると10%くらいに出ます。問題なのは少数ですが重篤な薬疹がでることです。これが現時点で投与に踏み切れない一番の理由です。

他のムードスタビライザーを投与しているにもかかわらず、なかなか病気の再燃が防げない何人かの方には、この薬の説明をしています。近々服用していただこうかと思っています。

治療の手立ては多い方がいいですよね。




2011.11.01 / Top↑
うつびょうと脳



脳を斜め前から見た図です。前頭前皮質とは、前頭葉の前の方の場所です。このうち、

・vmPFCは、腹内側(腹側の中心より)にあります。(=腹内側前頭前皮質)ventral medial prefrontal cortex

・dlPFCは、背外側(背中よりの外側)にあります。(=背外側前頭前皮質)dorsolateral prefrontal cortex


このうち、

抑うつ気分(罪業感や、希死念慮も)は、腹内側(赤)・・・セロトニン(←縫線核から放出)が関与
集中力(認知機能や意欲)は、背外側(緑)・・・・・・・・・・・ノルアドレナリン(←青班核から放出)が関与

に関係しています。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

うつ病では、セロトニンやノルアドレナリンが減って、憂うつになったり、集中力がなくなるわけです。

SSRIという抗うつ薬によって、セロトニンが増え、SNRIによってセロトニンとノルアドレナリンが増えてうつ病の症状が改善するとされています。(まあすべて仮説ですが・・)


注 (もうちょっと詳しく言うと・・・)

希死念慮には扁桃体も関係しています。・・・セロトニン
楽しさには、側座核や視床下部が関係しています。・・・側坐核はドパミンが関与
睡眠と食欲には、視床下部が関係しています。・・ノルアドレナリン
体の疲れは小脳が関係しています。・・・ノルアドレナリン

SSRIではドパミンがちょっと増えるものもあります(セルトラリン)。
ノルアドレナリン自己受容体が、ドパミンの再取り込み阻害する(この作用は前頭前皮質に顕著です)との報告があります。ですからSNRIによってドパミンもちょっと増えるわけです。

SNRIは痛みも抑えます。(「うつ病と痛み」参照)


2011.10.26 / Top↑
うつ病に患者さんが、外来に来られると、SSRIなどの抗うつ薬をお出しすることが多いです。


次の外来(翌週のことが多いです)に、「すっかり良くなりました」と言って来られた場合には、躁病になっている場合があります(これを躁転といいます)。

うつ病と診断される患者さんの場合には、うつ病だけを繰り返す場合(単極性うつ病)と、うつ病と躁病を繰り返す場合(双極性障害のうつ病相)があります。

これまで(2000年代前半まで)双極性うつ病の治療には、気分安定薬に加えて、抗うつ薬を使うことが推奨されてきたのですが、最近(2000年代後半以降)では気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン)の単独で治療する方向に傾いています。

これは、先程述べた、躁転の問題と、ラピッドサイクラー化の問題があるからです。

ラピッドサイクラーと言うのは、重症の双極性障害のことで、1年に4回以上の躁かうつの病相を繰り返す患者さんのことです。ラピッドサイクラーは治療がとても難しい病気です。

現実には双極性障害の患者さんで、うつ病相が長引いている場合には、患者さんの懇願に押し切られるような形で、SSRIなどの抗うつ薬を併用することがあります。躁転は覚悟の上で何とかうつ病から脱してもらうためです。

以下の場合に、ラピッドサイクラー化するリスクが高いとされます。

・女性
・若い発症
・双極性障害Ⅱ型
・大うつ病で発症
・うつー躁ー気分正常のサイクルの連続
・循環気質、気分高揚気質
・不安障害や薬物乱用の併存(男子の双極1型のみ)


これまでにも何度か繰り返していますが、双極性障害が増えている印象があります。この原因として、最近ではうつ病の治療に対する啓蒙運動の結果、うつ病がポピュラーな疾患になり(もちろんこれ自体は歓迎すべき現象です)、病気が軽い段階でクリニックを訪れる方が増え、その何割かの方の場合に、抗うつ薬によって躁転しているということがあるように感じます。

<もちろんこれによって、うつ病をこじらせなくて済んでいるとは思いますが>

この問題は、非専門医によるやや安易なSSRIの投与(残念なことに、専門を称するクリニックでも・・)が原因のようにも思います。

睡眠薬、抗不安薬に続いて、SSRIの安易な使用が最近の問題のように思います



2011.10.05 / Top↑
うつ病は女性に多い病気です。

男性のおよそ2倍かかります。もっとも自殺するような重い方は男性に多いのですが。

その理由は、うつ病には女性ホルモン(エストロゲン)が関係するからです。女性ホルモンの急激な変化によって、脳のバランスが崩れてうつになると考えればいいでしょう。

エストロゲンが急に減る産褥期(出産直後です)、エストロゲンが不安定になってその後減少する更年期に、うつ病が増えることが知られています。

50代の方で、抗うつ薬にエストロゲンの補充療法を併用することで、うつ病の症状が軽くなり、病気の再発が減る方がいます。ただし、エストロゲンの補充療法は乳がんを増やすことも知られており、その判断は産婦人科の先生にお任せしています。

また、エストロゲンは脳のアセチルコリンを増やし(認知症の薬のデネペジル=アリセプトもこういう働きです)、βアミロイド(認知症の原因とされています)の沈着を防ぐ働きがあります。認知症の発症も女性は男性のおよそ2倍ですが、これもエストロゲンの減少が原因とされます。

<また、うつ病の患者さんはアルツハイマー型認知症になる率が高いとされます>

となると、エストロゲンを投与すればいいということになるのですが、乳がんにかかる率が高くなるということで積極的な投与にはやや躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。

エストロゲンがうつ病や認知症を防ぐ作用は「神経保護作用」による説明されています。

エストロゲン


2011.09.06 / Top↑
いわゆる「現代型うつ病」について。


これまで、現代型のうつ病はあえて積極的には取り上げませんでした。

従来型のうつ病は、几帳面で責任感が強く真面目といった特徴(=メランコリー親和型の病前性格と言います)の方が、背負い切れない仕事を抱えて発病するというのが典型的でした。

「現在型うつ病」は、操作的な診断基準(DSMなどによる)によって、うつ病と診断されたとしても、従来型のうつ病とは別の病気(かつての神経症性のうつなど)ではないかという気持ちが強かったからです。

<過食や、眠りすぎ(あるいは朝起きられない)の方も多いです。かつては、眠れて食べられていれば大丈夫と言っていましたが、必ずしもこれは当たらなくなりました>

操作的な診断基準の問題点の一つは、病気になる原因(=病因論と言います)を問わないことです。病院論とはたとえて言えば、同じ足の骨折でもスポーツで折ったか、交通事故で折ったかを区別することです。原因ごとに予防の仕方も変わってきますよね。

とはいうものの、これだけ数が増えていると無視できません。最近では従来型のうつ病の方が少なくなりました。そういう方を見るとむしろホッとします。

誤解を恐れずに言うならば、

現代型のうつ病は、大人になりきれていない人のように見えます。現代の日本の社会全体が子供っぽくなっていることの反映かもしれません。

現代社会は、管理の方法が洗練されて、無用な軋轢がないようなシステムが組まれています。人が一々考えなくてもいいように、詳細なマニュアルが与えられます。マニュアルに従って仕事をすすめると、管理しやすいでしょう。

これによって起きる問題は、

・他人と話し合って、互いに自分の意見を好感して妥協点を見つけたり、折り合いをつけたりする訓練が足りなくなります。自分と違う考えに触れることが少ないと、常に自分の考えが正しいと思うようになり、自己愛が大きくなるでしょう。これは、根拠の乏しいプライドへと通じていて、ちょっと違いを指摘されても傷ついてしまうかもしれません。

・マニュアルを与えてもらわないと動けなくなるでしょう。また、人に教えてもらうのが当然と思うようになるかもしれません。

<かつて教えてもらえるということは特別な好意によってでした。無料で教えてくれるのは、教える側が得をするのではないかと疑った方がいいかもしれません。本当に価値あることはそうそうタダでは教えてはくれないものです。こういうものは本来はギブ&テイクでしょう>

ということがあるでしょう。

従来型のうつ病は、薬も効果があるし、患者さんの考え方を少々変えてもらうことで再発を防ぐことも出来ましたが、現代型のうつ病はこの戦略が通用しません。薬の効果も限定的なように感じます。

正攻法としては、傷つきやすい自己愛を保護しながら、上手に仕事を教えて、成功体験を積み重ねさせることで本物の自信をつける、ということになるでしょうか。従来型のうつ病のように、いたずらに休息を取るよりも、規則正しい生活リズムをつける方が大切でしょう。

また、与えられる喜びよりも、自分が主体となって得られる小さな喜びを得られるようになることが大切なような気がします。

これは少々これまでの医療の範囲を越えているような気がします。カウンセリングなどの心理療法が有用でしょう。

職場の上司は、以前のようなぶっきらぼうな応対をすると、パワハラと言われかねないので注意が必要です。部下と言うよりも、ご自分のお子さんのように接したらどうでしょう(これはやや勝手な意見ですが・・)。

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現代型うつ病に関しては、意見がまだまとまっていない段階です。上の考察は、うつ病の範囲が広がったために、かつてはうつ病でなかったものがうつ病と診断されている、という観点からのものです。

これとは別の考え方もできます。

かつては従来型(古典的)なうつ病になるような素因を持った方が、社会構造の変化によって、違った形でうつ病を発症しているという場合です。この場合には発病状況や症状は従来と違っていても、抗うつ薬を中心とした治療も一定の効果があるのではないでしょうか。

こんな風に時代によって病気が変化するところが、この分野の興味深いところだと思います。


2011.07.30 / Top↑

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