上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
認知症の随伴症状(=BPSD)とその治療について。


<BPSDとは>

認知症の症状には中核症状と随伴症状があります。

・中核症状 (記憶障害、見当識障害)すべての患者さんに起こる
・随伴症状 (=BPSD)80%の患者さんに起こる

ものです。

中核症状は、脳細胞が死ぬことで起きます。
BPSDは、それに患者さんを取り巻く環境や、介護者との関係、脳の伝達物質の異状が加わって起きます。
BPSDとは、認知症に随伴する、ビヘイビラル=行動と、サイコロジカル=精神の症状のことです。

認知症で患者さん本人や、患者さんを抱えるご家族が苦労するのは、むしろBPSDです。

BPSDの代表的なものとしては以下のものがあります。


(精神症状)
・妄想(もの盗られ妄想、嫉妬妄想など)・幻覚(幻視)
・睡眠障害
・抑うつ・不安・焦燥

(行動異常)
・攻撃的行動(暴力、暴言、拒絶、逸脱行動)
・徘徊
・不潔
・異食
・大声

<BPSDの治療>

BPSDを悪化させる要因には(H19年厚労省補助金、ぼけ予防協会)、以下のものがあります。

・薬剤(37.7%)せん妄の原因・・抗パーキンソン薬、抗コリン薬、抗不安薬、抗うつ薬、ジギタリス、βブロッカー、利尿剤、H2ブロッカー、ステロイド。
・身体合併症(23%)転倒や骨折、脱水。
・家族・介護環境(10.7%)

まず、これらではないかを確認することが必要です。H2ブロッカーは胃潰瘍の薬です。ジギタリスやβブロッカーは心臓の薬なので注意が必要です。

また、
認知症では、脳内の神経伝達物質であるセロトニンやGABAが減っており、これがBPSDの原因にもなっています。

つまり、
セロトニンやGABAの低下によって患者さんは、不安や憂うつ、ちょっとしたことでイライラしやすくなっているわけです。

BPSDの治療には、非薬物療法と薬物療法があります。


<非薬物治療>

こちらが基本です。

アルツハイマーの患者さんは、愛想がよく、礼節も保たれている方が多いです。認知症になると、そのことを恥じて「ちょっと忘れっぽいけれど、困っていません」言うことが多いです。

記憶障害が進行すると、患者さんはさまざまな失敗をし、そのことを他人から指摘されて傷ついています。患者さんは、恥をかきたくないという思いによって取り繕おうとするのです。これはもっともなことでしょう。

我々は、記憶によって周囲の世界とつながっています。家や家族、社会的な肩書などによって。記憶が失われると、人は世界とのつながりがなくなり孤立して、孤独になります。

それまで、社会的に重要な役割を担って尊敬されていた方にとって、急にぼけ老人扱いをされると、周囲への反発や被害感情も生まれるでしょう。

そんな気持ちもあってもの盗られ妄想が起きるのだと思います。

非薬物治療は、まずそんな患者さんの気持ちを理解することが必要です。患者さんは焦りや不安、気遅れを感じています。注意や叱責はせずに、患者さんの良いところを探して認めましょう。できないことをむりに訓練しないでさりげなくサポートしましょう。なによりも患者さんを尊重して優しく接することが大切です。

ですが、そんなご家族の努力にも限界があります。その場合には薬物療法も必要になります。

<薬物治療>

・抑肝散・・・セロトニンとGABAを調節することで、興奮や不安を鎮めます。

・タンドスピロン・・・セロトニン1A部分作動薬です。非ベンゾジアゼピン系なので、筋弛緩作用や、依存性が少ないのが特徴です。攻撃性や興奮に効果があります。

・睡眠薬(ゾルピデム、クワゼパム、トラゾドン)。これらはふらつきが少ないものです。

・SSRI(セルトラリン、フルボキサミン)抗うつ薬です。

・非定形抗精神病薬(リスペリドン、クエチアピンなど)は、錐体外路症状の少ないものが推奨されます。

薬物療法は必要最小限にすることが必要です。過鎮静やせん妄の原因になるからです。

<これは、11月19日(2011年)に甲府市の総合市民会館でおこなわれる、認知症セミナーという市民公開講座でパネリストの一人として発表する内容の骨子です>


スポンサーサイト
2011.11.08 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://asanagispirito.blog.fc2.com/tb.php/57-0a81758f

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。