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ししょうかぶ

視床下部は自律機能(=交感神経と副交感神経です)の調節を行う中枢です。
 
加えて、内分泌(=ホルモン)も調節します。

また、

・摂食(満腹中枢、空腹中枢)
・飲水行動
・性行動
・睡眠
・情動行動(怒りや不安)

の中枢でもあります。

重要なことは、ストレスがかかると、視床下部に悪影響があり、それによって自律神経のバランスが崩れたり、睡眠、食欲、性欲などが障害されることです。

心療内科では、毎回必ず睡眠と食欲について聞きます。この二つが良好だと、大体心が健康だからです。

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視床下部ー下垂体ー副腎皮質系(=hypothalamo-pituitary-adrenal axis, HPA系)

ししょうかぶー―下垂体ー副腎皮質


ストレスが加わると、視床下部(=Hypothalamus)から「副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン」(=CRH)が分泌され、それが下垂体前葉(=Anterior Pituitary)からの「副腎皮質刺激ホルモン」(=ACTH)の分泌を促進し、そのACTHが副腎皮質(=Adrenal glands。副腎は腎臓にあります)の活動を促進し、糖質コルチコイド(=グルココルチコイド)が分泌されます。このグルココルチコイドが多くなると、ACTHの分泌は減ります(=ネガティブ・フィードバックと言います。

ストレスが慢性に続くと、グルココルチコイドによるネガティブフィードバックが起こらず、ACTHが出続け、これによってグルココルチコイドの分泌が続きます。このグルココルチコイドは海馬を傷害し、また神経心性を促すBDNF(=脳由来神経心性因子)を減らします。

この海馬の障害(=萎縮)によって、うつ病の症状が出る、という仮説があります。


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2012.05.03 / Top↑
精神疾患は五大疾病の一つです。


以前は、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病の4つが四大疾病でした。厚生労働省は、H23年7月から精神疾患をそこに加え、5大疾病と位置付けて、重点的な対策を行うことにしました。

精神疾患の患者さんは、2008年の調査では323万人にのぼり、糖尿病(237万人)や、がん(152万人)を上回っています。

国が本腰を入れて精神疾患の対策に乗り出したわけです。もっとも、日本の精神医療が諸外国より遅れていることの表れかもしれません。

自殺が多いのは日本人特有の心性もあるでしょう(「日本人の死生観」)が、3万人を超える自殺が続いていることには弁解しようがありません。

国の決定を受けて、各都道府県は医療計画を練ります。具体的には、県や市の医師会に予算を与えて対策を依頼するわけです。

<今年度、医師会などが主催して、多くの研究会や協議会やシンポジウムが開かれました。僕も何度か講師をつとめました>

対策の柱は、医療機関の連携の強化です。認知症やうつ病が疑われる患者さんが、専門でない診療科を受診した際に、適切に判断して初期治療を行ったり、専門医への橋渡しをすることで、病気の悪化を防ぐわけです。

そのためには、精神疾患に対する一般の理解を高める必要があります。病気の啓発です。

啓発には様々なレベルがあります。一般の方への啓発(これはかなり効果がありました)。プライマリ・ケア医に対する啓発。専門家に対する啓発。

ここにはいくつかの問題が潜んでいると思います。

うつ病を例に挙げます。

うつ病の治療はやや混乱しています。

混乱の原因の一つには、うつ病の概念が広がったために、一般の方と、プライマリ・ケア医、専門家(あるいは専門家の間でさえ)で、思い描く病態がかなり違っていることがあります。

<大うつ病、うつ病、うつ、うつ状態、神経症性うつ病、躁鬱、気分に一致しない精神病性の特徴を持つ大うつ病、軽い大うつ病・・・・・>

医療機関の種類によって、来院する患者さんの病状には偏りがあります。ザックリ言うと、一般科→心療内科→精神科病院の外来の順に病状は重くなります。

<診断基準の症状の判定は主観的なので、軽い患者さんばかり見ていると、過剰診断(軽い人をうつ病と診断する)が増えると思います>

一般科には軽症の患者さんや、現代型うつ病の患者さんが多く来院するでしょう。その場合に、過剰診断がなされて、SSRIが投与されることはないでしょうか。

ところが、SSRIは軽症や中等症の場合には、あまり効果はありません。いわゆる現代型うつ病への効果も大きくありません。

一方で、SSRIは、不用意に投与すると、投与初期にはアクチベーション・シンドロームが起こりやすく、急にやめると離脱症状群が起こります。また漫然と大量投与を続けると、前頭葉類似症候群などを起こすこともあります。

<本来は、軽いうつの方はSSRIは投与せず、じっくりと患者さんのお話を聞いて治療するべきだと思います。この反対のことが行われているのではないでしょうか>

以前述べましたが、アメリカではSSRIの使用量が増えて、自殺が減ったのに、日本では自殺が減っていません。このことは重く受け止めるべきでしょう(「自殺とSSRI」)。

DSM(アメリカの操作的な診断基準です)の診断はⅠ軸診断だけでは、治療方針は立てられません。Ⅱ軸のパーソナリティー障害や、Ⅲ軸の一般身体疾患、Ⅳ軸の心理社会的および環境的な問題を十分に考慮して治療方針を立てるべきだと思います。

ごくごく当たり前のことです。
2012.04.03 / Top↑
広汎性発達障害(PDD)とは、


・対人関係の障害 (視線が合いません。感情を伝えるのが下手です。他人と興味を共有するのが苦手です)

・ことばの障害 (言葉が遅れます。一問一答の答えになります)

・特徴的なこだわり (興味の範囲が極端に狭いです。その対象が風変りなことも多いです)

この3つが広汎性発達障害の特徴です。

ざっくりいうと、

この3つの障害があるのが自閉症で、ことばの著しい障害がないのがアスペルガー障害です。

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高機能広汎性発達障害 HF-PDD(High Functioning ーPDD)とは、

知的障害のないものを言います。アスペルガー障害はほとんどこれです。自閉症の一部もこれに含まれます。

一言でいえば、「病的に空気が読めない人」と言えばいいでしょうか。

これは、正しいとか間違っているとかということとはちょっと違います。

これから会議が始まるとしましょう。少々緊張を強いられる会議です。目の前にはコーヒーとケーキが置かれているとします。まだ誰もそれに手を付けていません。ふつう、議論が山場を越えて場が和んだところでお茶にするはずです。それをいきなり席に着くなり、むしゃむしゃとケーキを食べたら変わり者ですよね。

いけなくはありませんが、空気ってものがあるじゃないですか。説明されなくても。

結婚式で花嫁さんがご両親にへの手紙を読んで、みんなが感動しているときに、いきなり大声で「すみません、トイレどこですか?」と聞いたらその場がぶち壊しですよね。

また、コミュニケーションは、言葉だけではなくて表情や声の抑揚などが重要ですよね。いつもよりわずかにトーンが違っているので、実は言葉ではOKと言いながら、あまり乗り気ではないんだな、と想像したりします。

「近くに来たときには、ぜひお立ち寄りください」言われても、それを鵜呑みにしてすぐには行きませんよね。

なぜ空気が読めないかというと、ひとつには言葉を文字通りにしか理解しないからです。言葉には広がりがあるし、裏があるし、行間があります。常識には一定の弾力があるじゃないですかね。

彼女に、「私だけを見ていて」と言われて、文字通りその通りにしたら、おかしいですよね。

たまたま、ある発達障害の方(患者さんではありません)と交差点で一緒になったことがあります。

「今日は、特に寒いね。いつごろ暖かかくなるかな?」

そんな風に話しかけたはずです。その後しばらくして、質問されました。

「どうしてあの時に、いつ暖かくなるのか、と質問したんですか?」と聞かれました。文字通り、いつ暖かくなるのかと質問されたと思ったからです。

彼には、世間話というものについて、延々と説明しました。

彼らは、言葉には厳密な定義がないと困ります。逆に言うならば、厳密な言葉の定義を必要とする職場には適しているといえるかもしれません。

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高機能広汎性発達障害は、脳の障害で起こります。育て方の問題ではありません。ですが、現時点では医療というよりも教育や指導が中心になるでしょう。医療としては、対症療法的に薬物療法をします。興奮のしやすさやこだわりやすさを薬で緩和したり。

発達障害の方もクリニックに良く来られます。特効薬があるわけではないので、地道に良くしていきましょう。



2012.02.29 / Top↑
患者さんに、どんな性格かを尋ねます。


自分では自分がどんな性格だと思っているかです。これと、家族が感じている性格は違います。職場の同僚や友達の見方も違うでしょう。

人は、場面ごとに見せる顔が違うからです。

また、人と違う部分の方が目立つのではないでしょうか。変わっている部分や。

ですが、こういう方々に数多く接していると、むしろ類似性に目が行くようになります。家族の中ではそれぞれが個性的だとしても、他の家族と比べれば似ている部分が多いですよね。かなり違って見える二人がいても、外国人と比べたら共通点が多いでしょう。

性格を考える時には、こんな風に見方を変えてみることが大切だと思います。ご本人が特別だと悩んでいる性格は、案外よくある性格かもしれませんよ。

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患者さんのご家族が、症状を細かに説明してくださっている時に、別のことを考えていることがあります。ご家族にとっては非日常的な体験も、ごくありふれた症状のことが多いからです。

そんな時には、ふんふんと聞きつつ、むしろご家族と患者さんの関係はどうなのかとか、その話を患者さんはどんなん表情で聞いているかを観察していたりすることがあります。

車の故障の原因について、頭を捻ってあーだこーだと難しく考えたのに、専門家が見れば実にありふれた故障だったりするのに似ているでしょう。
2012.02.07 / Top↑
ヤマアラシのジレンマ (あるいはハリネズミのジレンマ)


やまあらし



冬の寒い日のことです。ヤマアラシの夫婦は暖を取ろうと身を寄せると、お互いの針が体を刺します。離れると寒さに凍えます。

このジレンマのことです。

ショーペンハウエルの寓話を、精神分析学の創始者であるフロイトが引用して定式化しました。

以前、「あなたがここにいて欲しい」のところで、ちょっと触れました。

<Porcupine Dilemma といいますが、Hedgehog's Dilemma とも言います。英語ではヤマアラシがporcupine、ハリネズミがhedgehogです>

離れると淋しいのに、近づくと喧嘩をしてしまうことってありますよね。親子、夫婦、友人、同僚、恋人などあらゆる関係で。

試行錯誤して、ちょうど良い距離が見つかればいいですが、このジレンマが強過ぎる人(ボーダーライン=境界例)の場合にはなかなか難しいです。

それほど親しくない人に無視されても、それほどショックではないですが、恋人に無視されたら落ち込むでしょう。こちらはそんなに親しいと感じてなくても、相手はとても親しいと感じていることもあるでしょう。これは、二人の針の長さが違うのでしょうね。

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以前書きましたが、最近日本では対人距離がかなり遠くなっているように思います。

実際にヤマアラシの棘が長く鋭くなっているというよりも、そう思い込んでいるだけなようにも思えます。また、ちょっとした傷で、すぐに傷つくほど心が柔らかくなっているのかもしれません。


2012.01.31 / Top↑

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