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セロトニントランスポーター


エスエスアールアイ 作用機序2


うつ病になる原因を説明するための仮説のひとつにモノアミンがあります。

モノアミン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)の不足によってうつ病になるという仮説です。

モノアミンは神経伝達物質です。

上の図はセロトニン神経で、緑色の神経から紫色の神経に情報が伝達されます。ここで、情報を伝達する神経伝達物質がセロトニンです。

うつ病になると、セロトニン(やノルアドレナリン)が減る、というのがうつ病のモノアミン仮説というわけです。

緑の細胞から分泌されたセロトニンは、紫の細胞のセロトニン受容体に結合すれば情報が伝達されるのですが、一部はセロトニントランスポーターによってまた緑の細胞に取り込まれます。

SSRIという抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込阻害薬ですが、これは、緑色の神経終末から出たセロトニンが、セロトニントランスポーターに取り込まれるのを防ぎ、シナプス間隙のセロトニンが増えるのです。

その結果、セロトニンによる情報伝達が復活するわけです。

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セロトニントランスポーターには二種類あるます。S型とL型です。S型の人はSSRIの効き目が悪いと言われています。日本人に多いのは、残念ながらS型です。


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2012.05.15 / Top↑
日本では自殺は一向に減りません。


その間に抗うつ薬の投与量は増えています。これはどういうことでしょうか。世の中が不景気になったので、うつ病になる人が増えているのはおそらく確かでしょう。

うつ病の患者さんが増えると、医療機関を訪れる人が増えるでしょう。ですから抗うつ薬の処方は増えるはずです。

ですが、日本では抗うつ薬の処方量が増えているにもかかわらず、自殺者は減っていません。


じさつSSRI

SSRIを以前から使用しているアメリカでは、SSRIの使用量と自殺率が逆相関しています(もちろん、あらゆる統計は疑ってかかる必要がありますが)。SSRIの処方が増えて、自殺する人が減ったのです。

うつ病の患者さんは女性に多いです。日本でも、SSRIの処方が増えてから女性の自殺者は減っています。一方男性の自殺は増えました。とすると、自殺の増加はやはり不景気などを背景にしていると考えるべきでしょうか。

SSRIにはアクチベーション・シンドローム(賦活症候群)といわれる副作用があります(30歳以下の方に多いという報告があります)。

アクチベーション・シンドロームは、SSRIによってセロトニンが急に増えることで起きます。不安、焦燥感、不眠、衝動性、軽躁、躁状態などの症状が出ます。自傷行為や、自殺企図につながることもあります。

<以前、「パロキセチンを飲むと人を殺したくなる」とおっしゃった若い女性の患者さんがいました。薬との相関は分かりませんが、そんな気持ちは初めてだったそうです。ご自分でネットで調べて薬の影響ではないかと心配していました>

ここで、

A: SSRIを服用するとトータルでは自殺者が減る
B: SSRIを服用すると、投与初期にそれまでには自殺傾向のなかった人が自殺する可能性がある。

が、正しいとします。

現在日本で自殺が減っていないということはなぜでしょうか?さまざまな要因が考えられますが、不適切な治療によるとしたら由々しき問題です(想像に過ぎませんが)。

うつ病は、ありふれた病気だ(=心の風邪)というキャンペーンによって、精神科・心療内科を受信する方は激増しました(これは有益なことだと思います)。

加えて、うつ病は薬で(簡単に)治るというやや過剰な宣伝によって、専門以外の診療科でも気軽に抗うつ薬が投与されるようになりました(早期に治療を受けるという点では、もちろん有効なキャンペーンでしょうが)。

SSRIを十分な診察をしないで投与すると、アクチベーション・シンドロームが起きて、初期に自殺する人が何%かは増える(トータルでは増えないにしても)のも確かではないでしょうか。

おなかが痛いといって、内科を受診した人に、検査もせずに「じゃあ痛み止めを上げましょう」ということはありえないですよね。頭痛がするといった人に、とりあえず頭を開けて中を見てみましょうねという脳外科医がいないように。

「眠れない」と訴えたら睡眠薬、「憂うつ」と言ったらSSRI、パニックがある人にはベンゾジアゼピンを「ポン」と安易に出すような治療はありえないと思います。

最近気になるのは、心療内科という名称で、専門的なトレーニングを受けていない医師が開業する傾向があることです。

<少々過激なことを書きましたが、うつ病の啓蒙運動は全体としては、心の病気に対する抵抗を減らし、治療への敷居を小さくした功績はとても大きいと思います>



2012.04.21 / Top↑
SSRIを服用するのを急にやめると、


気がふさぐ、「電気が走る」、知覚異常、頭痛、めまい、吐き気、疲れやすさなどの症状が出ることがあります。これは、SSRIの離脱症状と言われています。

これは、パロキセチン(=商品名パキシル)で特に多い印象があります。

パロキセチンは不安の強いうつ病に良く効き、効き目も早い印象があるのですが、この離脱症状が起きやすいことと、性機能障害(特に射精困難)が起きやすく、体重も増えるというマイナス面があります。

<そんなわけで、大うつ病にはこれまでほとんど投与してきませんでした。不安障害には使うこともありましたが>

近々、ゆっくりと効くタイプのパロキセチン(CR錠)が発売されます。これによって、こういった副作用が軽くなることが期待されます。



2012.04.10 / Top↑
「死にたい」という言葉を聞かない日はまずありません。深刻なものから、ふっとそう思った、という程度のものまでさまざまですが。


この言葉になんとか答えようとするのが、心の医療の現場です。

「死にたい」について尋ねると、「消えてしまいたい」とか、「この世からなくなってしまいたい」と言う場合が多いです。

「この世には価値なんてないんだから、生きていてもしょうがない」とか、「人間どうせ死ぬんだから、何をやっても意味がない」ということだと思います。

<↑このことをニーチェは「ニヒリズム」と言いました>

「死んでしまえば、苦しいことから逃れられる」と考える気持ちは、分からないではありません。

<↑これを「無への意志」と言います。たいていの宗教の背後には、これがありますよね>

「苦しいことから逃れたい」という考えに取りつかれている人を、「楽しいことをしたい」という考えに変えるのが、治療の目標といえるでしょう。

<↑これは「ニヒリズムの克服」ですね。=受動的ニヒリズムを、能動的ニヒリズムに変えるわけです>

死にたいと言う人は、世の中に対して恨みの気持ちを持っていることも多いです。社会がいけない、親がいけない、他人がいけない、というような気持ちです。「もし・・だったらなあ」という気持ちもそうでしょう。

<↑これを「ルサンチマン」と言います>

こういう気持ちがあると、幸せが感じにくくなくなります。恨んでもどうにもなりませんよね。だったらこんなこと忘れてしまいましょう。(弱者の宗教であるキリスト教は、かつてルサンチマンに耐えろと言っていました)

<↑これが「ルサンチマンの克服」です。恨みは忘れちゃえばいいんです>


生きている意味はないと絶望して、死を求めるのではなく、生きることによって、世界に意味を見出しすことが大切です。

(=快楽を求めましょう。人生を楽しみましょう)

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というようなことが、僕の治療の根本です。惰性で生きるのではなく、より積極的に楽しい人生を送ってもらいたいと思います(お節介なようですが)。

社会によって生かされるのではなく、自分で生活の糧を稼いで、好き勝手なことをやってもらいたいと思っています。

<この間、統合失調症の患者さんが社会復帰しました。僕の中では何年越しのプロジェクトでした。職場を覗いて来ました。彼女の表情は、それまでとはまるで違っていました>


2012.03.01 / Top↑
「うつ病」に対するとらえ方は人によって大きな幅があります。


若い方は、軽い病気ととらえ、年配の方は重病だと考える傾向があります。これは、うつ病を取り巻く社会の変化とも相関しています。

実際に、「うつ病」の概念は、広がりました。DSM-Ⅲという操作的な診断基準ができてからです。

重い方へも軽い方へも広がりました。

重症の方は、以前なら「非定型精神病」と診断されていたかもしれない、被害妄想や被支配体験があり、大うつ病の診断基準を満たす病態が、うつ病(=気分に一致しない精神病性の特徴を持つ大うつ病)と診断されるようになりました。

軽症の方は、以前なら神経症性のうつ病とか、適応障害の重症のもの、いわゆる現代型のうつ病までカバーするようになりました。

<率直に言うならば、うつ病の診断は現在揺らいでいます。はっきり言えば混乱しているとも言えるでしょう>

患者さんから病名について説明してほしいと言われる時には、まずその方がうつ病についてどういうイメージを持っているかを伺います。重い病気と考えている場合と、軽い病気と考えている場合では説明の仕方が逆になるからです。

うつ病という診断名でカバーする病態が多様化しているため、「うつ病」と診断がつくだけでは、治療法方針は決められません。性格の問題や、環境の問題を考慮する必要があります。

一般に対するうつ病の啓蒙はとても効果的だったと思います。ですが弊害もありました。「うつ病」の診断がついたら、SSRIを投与すればいいと安易に考える風潮が生まれたことです。そんなに単純ではありません。

SSRIは体質に働きかけるだけです。うつ病の治療には、環境の調整や、性格への働きかけが必要です。
2011.12.28 / Top↑

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