上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
セロトニントランスポーター


エスエスアールアイ 作用機序2


うつ病になる原因を説明するための仮説のひとつにモノアミンがあります。

モノアミン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)の不足によってうつ病になるという仮説です。

モノアミンは神経伝達物質です。

上の図はセロトニン神経で、緑色の神経から紫色の神経に情報が伝達されます。ここで、情報を伝達する神経伝達物質がセロトニンです。

うつ病になると、セロトニン(やノルアドレナリン)が減る、というのがうつ病のモノアミン仮説というわけです。

緑の細胞から分泌されたセロトニンは、紫の細胞のセロトニン受容体に結合すれば情報が伝達されるのですが、一部はセロトニントランスポーターによってまた緑の細胞に取り込まれます。

SSRIという抗うつ薬は、選択的セロトニン再取り込阻害薬ですが、これは、緑色の神経終末から出たセロトニンが、セロトニントランスポーターに取り込まれるのを防ぎ、シナプス間隙のセロトニンが増えるのです。

その結果、セロトニンによる情報伝達が復活するわけです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

セロトニントランスポーターには二種類あるます。S型とL型です。S型の人はSSRIの効き目が悪いと言われています。日本人に多いのは、残念ながらS型です。


スポンサーサイト
2012.05.15 / Top↑
ししょうかぶ

視床下部は自律機能(=交感神経と副交感神経です)の調節を行う中枢です。
 
加えて、内分泌(=ホルモン)も調節します。

また、

・摂食(満腹中枢、空腹中枢)
・飲水行動
・性行動
・睡眠
・情動行動(怒りや不安)

の中枢でもあります。

重要なことは、ストレスがかかると、視床下部に悪影響があり、それによって自律神経のバランスが崩れたり、睡眠、食欲、性欲などが障害されることです。

心療内科では、毎回必ず睡眠と食欲について聞きます。この二つが良好だと、大体心が健康だからです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

視床下部ー下垂体ー副腎皮質系(=hypothalamo-pituitary-adrenal axis, HPA系)

ししょうかぶー―下垂体ー副腎皮質


ストレスが加わると、視床下部(=Hypothalamus)から「副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン」(=CRH)が分泌され、それが下垂体前葉(=Anterior Pituitary)からの「副腎皮質刺激ホルモン」(=ACTH)の分泌を促進し、そのACTHが副腎皮質(=Adrenal glands。副腎は腎臓にあります)の活動を促進し、糖質コルチコイド(=グルココルチコイド)が分泌されます。このグルココルチコイドが多くなると、ACTHの分泌は減ります(=ネガティブ・フィードバックと言います。

ストレスが慢性に続くと、グルココルチコイドによるネガティブフィードバックが起こらず、ACTHが出続け、これによってグルココルチコイドの分泌が続きます。このグルココルチコイドは海馬を傷害し、また神経心性を促すBDNF(=脳由来神経心性因子)を減らします。

この海馬の障害(=萎縮)によって、うつ病の症状が出る、という仮説があります。


2012.05.03 / Top↑
日本では自殺は一向に減りません。


その間に抗うつ薬の投与量は増えています。これはどういうことでしょうか。世の中が不景気になったので、うつ病になる人が増えているのはおそらく確かでしょう。

うつ病の患者さんが増えると、医療機関を訪れる人が増えるでしょう。ですから抗うつ薬の処方は増えるはずです。

ですが、日本では抗うつ薬の処方量が増えているにもかかわらず、自殺者は減っていません。


じさつSSRI

SSRIを以前から使用しているアメリカでは、SSRIの使用量と自殺率が逆相関しています(もちろん、あらゆる統計は疑ってかかる必要がありますが)。SSRIの処方が増えて、自殺する人が減ったのです。

うつ病の患者さんは女性に多いです。日本でも、SSRIの処方が増えてから女性の自殺者は減っています。一方男性の自殺は増えました。とすると、自殺の増加はやはり不景気などを背景にしていると考えるべきでしょうか。

SSRIにはアクチベーション・シンドローム(賦活症候群)といわれる副作用があります(30歳以下の方に多いという報告があります)。

アクチベーション・シンドロームは、SSRIによってセロトニンが急に増えることで起きます。不安、焦燥感、不眠、衝動性、軽躁、躁状態などの症状が出ます。自傷行為や、自殺企図につながることもあります。

<以前、「パロキセチンを飲むと人を殺したくなる」とおっしゃった若い女性の患者さんがいました。薬との相関は分かりませんが、そんな気持ちは初めてだったそうです。ご自分でネットで調べて薬の影響ではないかと心配していました>

ここで、

A: SSRIを服用するとトータルでは自殺者が減る
B: SSRIを服用すると、投与初期にそれまでには自殺傾向のなかった人が自殺する可能性がある。

が、正しいとします。

現在日本で自殺が減っていないということはなぜでしょうか?さまざまな要因が考えられますが、不適切な治療によるとしたら由々しき問題です(想像に過ぎませんが)。

うつ病は、ありふれた病気だ(=心の風邪)というキャンペーンによって、精神科・心療内科を受信する方は激増しました(これは有益なことだと思います)。

加えて、うつ病は薬で(簡単に)治るというやや過剰な宣伝によって、専門以外の診療科でも気軽に抗うつ薬が投与されるようになりました(早期に治療を受けるという点では、もちろん有効なキャンペーンでしょうが)。

SSRIを十分な診察をしないで投与すると、アクチベーション・シンドロームが起きて、初期に自殺する人が何%かは増える(トータルでは増えないにしても)のも確かではないでしょうか。

おなかが痛いといって、内科を受診した人に、検査もせずに「じゃあ痛み止めを上げましょう」ということはありえないですよね。頭痛がするといった人に、とりあえず頭を開けて中を見てみましょうねという脳外科医がいないように。

「眠れない」と訴えたら睡眠薬、「憂うつ」と言ったらSSRI、パニックがある人にはベンゾジアゼピンを「ポン」と安易に出すような治療はありえないと思います。

最近気になるのは、心療内科という名称で、専門的なトレーニングを受けていない医師が開業する傾向があることです。

<少々過激なことを書きましたが、うつ病の啓蒙運動は全体としては、心の病気に対する抵抗を減らし、治療への敷居を小さくした功績はとても大きいと思います>



2012.04.21 / Top↑
SSRIを服用するのを急にやめると、


気がふさぐ、「電気が走る」、知覚異常、頭痛、めまい、吐き気、疲れやすさなどの症状が出ることがあります。これは、SSRIの離脱症状と言われています。

これは、パロキセチン(=商品名パキシル)で特に多い印象があります。

パロキセチンは不安の強いうつ病に良く効き、効き目も早い印象があるのですが、この離脱症状が起きやすいことと、性機能障害(特に射精困難)が起きやすく、体重も増えるというマイナス面があります。

<そんなわけで、大うつ病にはこれまでほとんど投与してきませんでした。不安障害には使うこともありましたが>

近々、ゆっくりと効くタイプのパロキセチン(CR錠)が発売されます。これによって、こういった副作用が軽くなることが期待されます。



2012.04.10 / Top↑
精神疾患は五大疾病の一つです。


以前は、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病の4つが四大疾病でした。厚生労働省は、H23年7月から精神疾患をそこに加え、5大疾病と位置付けて、重点的な対策を行うことにしました。

精神疾患の患者さんは、2008年の調査では323万人にのぼり、糖尿病(237万人)や、がん(152万人)を上回っています。

国が本腰を入れて精神疾患の対策に乗り出したわけです。もっとも、日本の精神医療が諸外国より遅れていることの表れかもしれません。

自殺が多いのは日本人特有の心性もあるでしょう(「日本人の死生観」)が、3万人を超える自殺が続いていることには弁解しようがありません。

国の決定を受けて、各都道府県は医療計画を練ります。具体的には、県や市の医師会に予算を与えて対策を依頼するわけです。

<今年度、医師会などが主催して、多くの研究会や協議会やシンポジウムが開かれました。僕も何度か講師をつとめました>

対策の柱は、医療機関の連携の強化です。認知症やうつ病が疑われる患者さんが、専門でない診療科を受診した際に、適切に判断して初期治療を行ったり、専門医への橋渡しをすることで、病気の悪化を防ぐわけです。

そのためには、精神疾患に対する一般の理解を高める必要があります。病気の啓発です。

啓発には様々なレベルがあります。一般の方への啓発(これはかなり効果がありました)。プライマリ・ケア医に対する啓発。専門家に対する啓発。

ここにはいくつかの問題が潜んでいると思います。

うつ病を例に挙げます。

うつ病の治療はやや混乱しています。

混乱の原因の一つには、うつ病の概念が広がったために、一般の方と、プライマリ・ケア医、専門家(あるいは専門家の間でさえ)で、思い描く病態がかなり違っていることがあります。

<大うつ病、うつ病、うつ、うつ状態、神経症性うつ病、躁鬱、気分に一致しない精神病性の特徴を持つ大うつ病、軽い大うつ病・・・・・>

医療機関の種類によって、来院する患者さんの病状には偏りがあります。ザックリ言うと、一般科→心療内科→精神科病院の外来の順に病状は重くなります。

<診断基準の症状の判定は主観的なので、軽い患者さんばかり見ていると、過剰診断(軽い人をうつ病と診断する)が増えると思います>

一般科には軽症の患者さんや、現代型うつ病の患者さんが多く来院するでしょう。その場合に、過剰診断がなされて、SSRIが投与されることはないでしょうか。

ところが、SSRIは軽症や中等症の場合には、あまり効果はありません。いわゆる現代型うつ病への効果も大きくありません。

一方で、SSRIは、不用意に投与すると、投与初期にはアクチベーション・シンドロームが起こりやすく、急にやめると離脱症状群が起こります。また漫然と大量投与を続けると、前頭葉類似症候群などを起こすこともあります。

<本来は、軽いうつの方はSSRIは投与せず、じっくりと患者さんのお話を聞いて治療するべきだと思います。この反対のことが行われているのではないでしょうか>

以前述べましたが、アメリカではSSRIの使用量が増えて、自殺が減ったのに、日本では自殺が減っていません。このことは重く受け止めるべきでしょう(「自殺とSSRI」)。

DSM(アメリカの操作的な診断基準です)の診断はⅠ軸診断だけでは、治療方針は立てられません。Ⅱ軸のパーソナリティー障害や、Ⅲ軸の一般身体疾患、Ⅳ軸の心理社会的および環境的な問題を十分に考慮して治療方針を立てるべきだと思います。

ごくごく当たり前のことです。
2012.04.03 / Top↑

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。